本展では日本の歴史に焦点をあて、葛飾北斎やその弟子などが歴史上の人物や事件を描いた作品を集めます。主に高等学校の日本史の授業で習う人物や事件を軸にしますが、当時の歴史観に基づき神話の時代から安土・桃山時代、そして北斎の生きた江戸時代の歴史的事象を描いた作品、弟子の描いた明治時代の錦絵までを展示します。紫式部や武田信玄など、どこかで名前をきいたことがある、あの人も登場しますので、今までイメージしていた人物像と比べながら、北斎を身近に感じていただけると幸いです。
『北斎で日本史』-あの人をどう描いたか-について
“日本の歴史”をテーマに、葛飾北斎やその弟子などが描いた作品を紹介する展覧会「北斎で日本史-あの人をどう描いたか-」が、すみだ北斎美術館で開催されます。
神話の時代から安土・桃山時代、北斎の生きた江戸時代の歴史的事象を描いた作品や、北斎の弟子の描いた明治時代の錦絵などが展示され、当時の歴史観を、北斎やその弟子たちの視点から窺い知ることができます。
主に高等学校の日本史の授業で習う人物や事件が軸となり、紫式部や武田信玄など、どこかで名前を聞いたことがある歴史上の有名人が登場するため、今までイメージしていた人物像と比べながら作品鑑賞を楽しめます。
『北斎で日本史』の見どころ
- 北斎や弟子が描いた作品とともに、歴史小説や物語等でも有名な歴史的場面を楽しめます。
- 北斎や弟子が描いたイメージから、作品が描かれた江戸時代当時の歴史の見方をうかがい知ることができます。
- 高校日本史で習う歴史用語の解説や、北斎や弟子の作品に描かれているポイントも一部解説しています。
コノハナノサクヤビメ
『富嶽百景』の最初のページに描かれた神
葛飾北斎『富嶽百景』初編 木花開耶姫命(通期)
『富嶽百景』は北斎の富士図を約100図収載した版本で、本図はその最初のページに描かれたコノハナノサクヤビメです。衣服をチリチリとした線で表現するなど、北斎の描画の特徴がみられます。コノハナノサクヤビメは『日本書紀』や『古事記』に登場する神で、富士山麓にある浅間神社の御神体としてまつられています。
神話の時代
『古事記』や『日本書紀』などに記される神話は、江戸時代には日本の歴史の起源として考えられていました。<神話の時代>では、アマテラスオオミカミ、スサノオノミコトなど、神話に登場する神々などを紹介します。
仏教伝来
葛飾北斎『三国伝来記』(前期)
『三国伝来記』は善光寺(長野県)本尊の由来記の挿絵を北斎が描いたものです。本尊は百済(くだら)の聖明王(せいめいおう)から伝えられた仏像としています。本図は御簾の奥の欽明(きんめい)天皇へ、二人の百済の僧が鳳輦(ほうれん)を捧げている場面です。本尊の仏像は描かれていませんが、鳳輦の中にあると考えられます。 日本史の教科書で習う「仏教伝来」は、公式には百済の聖明王が欽明天皇に仏像や経典を伝えたといわれていることから、本図はまさに日本に仏教が伝わった歴史的場面といえます。
一の谷の戦い
古墳・飛鳥時代
仏教伝来や、聖徳太子、大化の改新など、古墳・飛鳥時代(3世紀中頃~645年頃)に関する人物や出来事が描かれた作品を展示します。
一の谷の戦い
城郭の構図や騎馬が連なる表現に注目
葛飾北斎「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」(作品を替えて通期で展示)
本図は平家物語にも登場する「一の谷の戦い」を北斎が浮絵(*1)に描いた作品です。一の谷の戦いでは、源義経は平氏軍の背後に位置する鵯越(ひよどりごえ)の断崖をかけ降りて奇襲し、平氏軍に勝利しました。画面右側には断崖を源氏方の騎馬が連なり駆け降りる様子が描かれています。さらに、城郭には複数の消失点をとった透視図法が用いられています。
*1浮絵:浮世絵で、遠近法を利用し奥行きを強調した形式のこと。
畠山重忠
一の谷の戦いで、馬を担いで断崖を降りたと伝わる大力・剛勇の鎌倉武士
葛飾北斎「畠山重忠」(後期)
本図は軍記物語『源平盛衰記』に記された話に基づいて描かれたものと考えられます。 畠山重忠(1164~1205)は、平安・鎌倉時代初期の武士です。当初平氏軍でしたが、後に源頼朝に従い、源(木曽)義仲追討などで活躍しました。北条義時と畠山重忠が登場する版本『星月夜顕晦録』も通期で展示します。
鎌倉時代
源平の合戦も含め、執権となる北条氏などの人物、武家の争いによる社会不安の中で生まれた鎌倉仏教の開祖など、鎌倉幕府の時代(12世紀末~1333年)を描いた作品を紹介します。
上杉謙信と武田信玄
北斎が描いた戦国大名の一騎打ち
本図には、川中島の戦いの名場面として伝わる、上杉謙信と武田信玄の一騎打ちが描かれています。信玄をはじめ、甲州武士について記された軍学書には、“混戦のなか、白手ぬぐいで頭を包んだ武者が馬に乗って刀を抜き、突進して切りつけてきたので、信玄は立って軍配で受けた”と記されています。本図も、騎乗で切りつける謙信と、刀を軍配で受ける信玄の構図など、この記述に近い描き方がされています。
本能寺の変
忠義を尽くした家臣が大きく描かれた本能寺の変
二代柳川重信『日本百将伝一夕話』十二 本能寺に明智主に逼る(通期)
屋敷の外には信長を急襲した明智の家紋である桔梗紋の旗があり、本能寺に攻め込んでいる様子が表されています。信長の小姓で、信長とともに討死した森蘭丸、森坊丸兄弟が手前に大きく描かれ、右奥に信長が描かれています。
安土・桃山時代
安土・桃山時代(1568~1600年頃)は、応仁の乱後、大名が力をつけ群雄割拠し、そのなかから織田信長や豊臣秀吉が出て全国統一がなされた時代です。守護大名や戦国大名を描いた作品を中心に集めて紹介します。
徳川家康
浮世絵師が江戸幕府将軍を描いた珍しい作品
二代葛飾北斎「徳川家康束帯座像」(前期)
北斎の弟子・二代葛飾北斎が徳川家康を描いた肉筆画です。浮世絵師が江戸幕府の将軍を描いた作品は珍しく、「恐惶頓首百拝 北斎拝写」の落款からは、敬意をもって描いたことがわかり、当時の人々の幕府への見方を示しています。
江戸時代
北斎の武者絵版本の傑作!『和漢絵本魁』『絵本武蔵鐙』『絵本和漢誉』
『和漢絵本魁』(わかんえほんさきがけ)、『絵本武蔵鐙』(えほんむさしあぶみ)、『絵本和漢誉』(えほんわかんのほまれ)の3作品には、北斎が描いた武田信玄と上杉謙信のほか、宮本武蔵と佐々木巌流(佐々木小次郎)など、歴史上著名な人物の武者絵が合計約90図収載されています。甲冑を着ている武者でも、様々な身体の動きを自在に描いている点や、画面を見開きで縦に使って迫力を演出する工夫をしているのも見どころです。
名称 | 北斎で日本史-あの人をどう描いたか- (ほくさいでにほんし あのひとをどうえがいたか) |
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所在地 | 〒130 – 0014 東京都墨田区亀沢二丁目7番2号 |
開催期間 | 2021年12月21日~2022年2月27日 9:30~17:30(入館は17:00まで) ※休館日は毎週月曜(1月3日・10日は開館)、12月29日~1月1日・4日・11日 |
開催場所 | 東京都 すみだ北斎美術館 |
交通アクセス | 地下鉄都営大江戸線「両国駅」A3出口から徒歩5分、またはJR総武線「両国駅」東口から徒歩9分、またはJR総武線「錦糸町駅」北口から墨田区内循環バス「すみだ北斎美術館前(津軽家上屋敷跡)」すぐ |
主催 | 墨田区・すみだ北斎美術館 |
料金 | 一般1000円、65歳以上・大高生700円、中学生300円、小学生以下無料 |
問合せ先 | すみだ北斎美術館 03-6658-8936 |
ホームページ | https://hokusai-museum.jp/hokusaidenihonshi/ |
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